掛金の構造を知ると、お得なペット保険が見えてくる

2012/08/14

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ペット保険を選ぶにあたって、最も気になる要素と言えば「掛金」だろう。

誰しも必要以上に高い金額を払いたくはないだろうし、同じ補償条件であれば、掛金が安いほうが得した気分にもなる。掛金は保険選びの上で重要な要素であることは今さら言うまでもなく、補償内容に比べて掛金が割安であれば積極的に加入を検討したくなる。そんな都合の良いペット保険はあるだろうか?

各社の掛金はバラバラ、車1台分違うことも!

まずは下のグラフをご覧頂きたい。これは、ゴールデン・レトリーバーを保険に加入させようとして、某ペット保険会社2社が販売する補償割合70%のペット保険の掛金を調べ、グラフ化したものだ。

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グラフの縦軸は1年間に支払う掛金、横軸はゴールデン・レトリーバーの年齢だ。ご覧のとおり2社とも見事な右肩上がりで、愛犬が歳を重ねるにつれて年間掛金も高くなっていく様子がわかる。

この2社の比較では、どの年齢においてもA社の掛金のほうがB社よりも高い。その差は愛犬が2歳ぐらいまでは小さいものの、4歳を迎えたあたりからグングン開き始め、12歳時点での年間掛金は、B社が10万円をはるかに下回るのに対してA社は20万円を上回る。そして、0歳から12歳まで計13年間に支払う掛金の総額を比較すると、驚くことにその差は2.7倍以上、金額にして80万円超にも達する。軽自動車1台が買えてしまう金額だ。

もちろん上の2社のペット保険では補償限度額をはじめ、細かな補償条件や保険を請求する際の利便性等にも差があるため、これらを十分に考慮せずに一律に掛金を比較するのは少々乱暴ではある。それでも車1台分もの掛金差が生じている点は見過ごせない。

経費が膨らむ会社の掛金は割高

そもそも掛金は、どのように決められているのか?まず「敵を知る」意味でも、掛金の仕組みを知っておいて損はない。

ちなみに、保険会社へ支払う掛金は、「保険料」という。よく「保険金」と混同しがちだが、保険金は、保険会社から加入者などが受け取る補償金を指す。「保険金受取人」(保険金を受け取る人)や「保険金殺人」(保険金を目当てにした殺人)という言葉は、テレビや新聞などで良く聞く言葉だ。

やや専門的な話になって恐縮だが、一般の消費者に見えている保険料は「純保険料」と「付加保険料」の二つの要素で構成されている。割安な保険料は、純保険料か付加保険料、あるいはその両方が割安であることから実現される。

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「純保険料」とは、保険金に充当される原資。ペット保険会社は保険に加入する飼い主から集めた保険料のうち、ペットが事故や病気等に見舞われた場合に補償として保険金を支払う。その保険金の支払いにあてられるのが純保険料である。ペット保険の場合、一般的に、純保険料は保険料全体の5~7割程度を占める。

一方、「付加保険料」とは、保険事業を運営するために必要な営業費用や人件費などの経費に充当される部分だ。保険会社各社は、競争力のある安い保険料を提供するため、コスト削減を徹底し、効率的な事業運営を目指して付加保険料を低く抑える努力をしている。

ただ、獣医師から聞いた、私たちが知らない動物病院とペット保険の関係でも触れたように、全国の動物病院と提携し窓口精算方式を採用するペット保険会社では、制度維持のための経費の支出がかさむので付加保険料が上昇する要因になる。

また、ペット保険を損害保険の形態で運営する会社は、少額短期保険の形態で運営する会社に比べ、規則や規制がより厳格であるために経費が余計にかかるので、より多くの契約を獲得していかないと効率が上がらない傾向がある。この結果、各社の保険料を並べてみると、低水準の保険料を維持している会社は、立替精算方式を採用する少額短期保険会社が多い。

ペットの年齢や種別、品種が保険料を大きく左右する

付加保険料を低水準に抑えるためには、経費削減が有効であることがわかったが、では、純保険料を抑えるにためにはどのような工夫がされているのだろうか?

多くのペット保険会社で用いられている手法が、年齢別や犬種別に保険料を変える仕組みだ。

人間同様、ペットも高齢化が進むにつれ病院のお世話になる機会が多くなる。1年間に要する治療費を比べた場合、若い犬よりも老犬のほうが高くなる傾向にあるのは、人間の場合と同じだ。もし仮に全年齢を通じて保険料が同じだとすると、実質的には老犬にかかる補償の一部を若い犬の保険料で賄っていることになり、年齢間の不公平が生じる。

加入者間で公平に保険料を負担してもらうには、多くの補償を要する老犬にはより多くの保険料を負担してもらい、少ない補償で済む若い犬には安い保険料を負担してもらう仕組みにしなければならない。実際に、すべてのペット保険会社で年齢があがると保険料が高くなる仕組みが用いられている。

犬種についても同様のことが言える。小型犬と大型犬とでは、使う薬の量や、保定(治療を行う際に犬が動かないようにする)等をする獣医療補助者の手間などが違うため、治療費も大型犬のほうが高くなる。保険料も、実態を反映し、小型犬と大型犬とでは掛金に差が設けられているのが一般的だ。

同じペット保険会社の同じ補償プランでも、犬種によって保険料が異なるのはそのためで、チワワやトイプードルといった小型犬に比べて、ゴールデン・レトリーバーや秋田犬などの大型犬は保険料が高い。

犬種別の保険料は多くのペット保険会社が採用しているが、もっとぎゅっとのようにすべての犬種で保険料を統一したり、FPCのように犬・猫の区別なくすべて同じ保険料としている会社もある。

補償割合が高い保険は、保険料がお得!

年齢別や犬種別と並んで、保険料に大きく影響するのが補償割合だ。

「補償割合」とは、ペットのケガや病気で動物病院に受診した際に払った治療費のうち、ペット保険会社が支払ってくれる割合のことだ。高割合だと自己負担分は少ないが、その分保険料は高くなる。

FPC日本アニマル倶楽部ペッツベストを除くペット保険会社6社では、加入者のさまざまなニーズに応えようと、補償割合の異なる複数の保険プランを用意する。業界最大手のアニコムをはじめ6社すべてに共通しているのは、補償割合70%と50%の保険プランを用意していることだ。

動物病院に支払う治療費のうちペット保険会社が治療費の70%を肩代わりしてくれる補償プランと50%を肩代わりする補償プラン、この2つに保険料の差があるとすれば、補償割合70%の場合の保険料は、50%の場合の1.4倍であれば加入者間の公平が保たれている気もするが、実際にはそうならない。

条件をそろえるために、例えば70%の場合の保険料を7で、50%の場合の保険料を5で割った「補償割合10%あたりの保険料」を比べてみよう。下の表は、3歳のダックスフンドの各社の保険料(基本保険料。割引なし。)の一覧だ。

いずれの会社も補償割合70%のほうが「補償割合10%あたりの保険料」が安い。この傾向は、3歳のダックスフンドに限らず、どの犬種にも当てはまり、例えば0歳~12歳までの”生涯保険料”を比較してみても、すべての保険商品で補償割合70%のほうが安い。

【表1】3歳・ダックスフンドの「補償割合10%あたりの保険料」一覧表

ペット保険会社名 補償割合70% 比較 補償割合50%
アイペット 5,374円 5,994円
アクサ 4,863円 5,362円
アニコム 6,650円 6,884円
ペット&ファミリー 3,816円 4,728円
ペットメディカルサポート 5,043円 5,116円
もっとぎゅっと 5,410円 5,434円

※「補償割合10%あたりの保険料」は、各種割引を一切考慮せず、各社の基本保険料をもとに算出した。

例えば10万円の治療費を支払った際に7万円を受け取れる保険と5万円を受け取れる保険を比べた場合、その差は1.4倍もあるのに、保険料の差は1.4倍よりも小さく、この部分のみを見れば、「70%補償」のほうが割安なのである。

また、ペットメディカルサポートもっとぎゅっとでは、補償割合がそれぞれ100%や90%の高補償割合のペット保険も販売している。これらの「補償割合10%あたりの保険料」を調べてみると、補償割合70%の場合よりもさらに単価は安くなっている。

このように、補償割合の高いペット保険は、その割合が高いほど、補償割合あたりの単価は割安になっているので、この部分だけを見れば、「お得な保険」と言えるだろう。

なお、日額限度や手術費用限度額など、一回あたりの限度額が設定されている場合で、これらの限度額を超過する保険金請求の場合には、ここで行った単純比較とは違った結果になるので、注意して頂きたい。

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ライター紹介

石川 拓也

石川 拓也
保険、共済関連のフリーライターです。昼間の顔は、某保険会社関連企業でアナリストをしています。1974年生まれ、男性。ちなみに、名前はペンネームです。 更新情報などを配信しますので、よろしければ、Twitterへフォローをお願いします。

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